シマント、トランコムと物流センターの業務を効率化する「配車計画自動作成システム」を共同で開発しました。

株式会社シマント(本社:東京都文京区、代表取締役:和田 怜)は、トランコム株式会社(本社:愛知県名古屋市、代表取締役 社長執行役員:武部 篤紀、以下「トランコム」)の配車計画自動作成システム 「Bridge (ブリッジ)」の開発に協力しました。

導入の背景

物流センターにおいて、荷物の配送スケジュールやトラック車両の手配などを行う配車担当者は、膨大な荷物量とトラック車両台数などの条件踏まえ、人間の判断で配車計画を作成しています。

積載率の高さなどの条件を満たした効率的な配送計画を人間が作成することは難しく、さらに、トランコムがカバーする複数拠点からの出荷計画は、非常に複雑な計画になります。配車担当者が、最適な計画を立てられるようになるまでに、長期の経験を必要とします。

そのため、配車業務にかかわる人員と業務時間は増え続けています。この課題を解決するために、トランコムは配車計画自動化システム「Bridge(ブリッジ)」を開発し、導入しました。

システムの概要

トランコムの物流センターでは、配車システムを利用していましたが、既存のシステムでは対応できないケースが存在し、手作業で対応していました。そこで、トランコムは配車業務のフローを調査し、手作業が発生している要因がデータベースの精度の低さにあり、それが「Excel形式の伝票データをデータベースに登録する作業の困難さ」によって起きていることを見つけました。

大量の伝票データを一つのデータベースに統合するには多くの作業時間を必要とします。それに加えて、精度の高いデータベースを維持する為に「データを整えるための手作業」が発生していました。これにより、「荷割(にわり)」「割り付け」といわれる「発送する荷物をトラックに割り当てる作業」を毎日数時間かけて行っていました。

この課題を解決するために、独自のデータマネジメント技術を持ち、柔軟なデータ管理が可能なDWH(データウェアハウス)を開発するシマントは、多様な伝票データの登録作業を自動化しました。さらに、登録されたデータを活用して、荷割・割り付けなどの業務を高速に自動化する仕組みを開発しました。

複数の拠点に配送物が分かれて保管されている場合、どの拠点からどの荷物を積み込むのかを計画することは困難でした。トランコムの各物流センターのデータが整理されることで、拠点をまたぐ配送計画も自動で作成できるようになりました。

また、物流センターの在庫を最適化することで、在庫量を調整するための輸送回数を削減し、複数の拠点をまたぐ配送の頻度を下げられるようになりました。

新システムにより、これまで数時間かかっていた割り付け作業を約10分に短縮し、配車作業に必要な人数を削減することで、より高度な作業に人員を配置することができました。

2022年4月から、トランコムの物流センターで新システムの利用が開始され、作業工数と必要作業員の減少と、配送ミスの削減などの効果が出ていることが確認できました。

システムの主な特徴

  • シマント独自のデータ処理技術により複数のマスタやフォーマットのデータを一元化
  • 複数かつ膨大な組み合わせから最適な割り付けパターンを自動で算出
  • 割り付け業務作業者の意見を活用し、割り付け結果のばらつきを抑制
  • 在庫量、積載率、出荷日など複数の条件を踏まえた最適な配車計画を自動で作成
  • 拠点間の在庫移動計画を自動化し、品目ごとの適正な在庫配置を実現
  • 当日の配送状況や荷主からの変更要請に応じて、配車担当者が自由に配車計画を修正可能な半自動機能を搭載
  • 幹線輸送・支線配送・巡回など複数種類の配車計画に対応
  • トラック車両ごとにかかる運賃を計画時に確認できる

伊藤浩史:執行役員(サプライチェーンロジスティクス(第一グループ))のコメント

物流において重要な役割である配車業務は煩雑化が進んでいました。トランコムでは20年以上にわたり、この配車業務をより柔軟で負荷の少ない仕組みにする構想を進めてきました。近年は、ITの活用とシステム化に取り組んできましたが、様々な課題によって実現には至りませんでした。データベース技術に精通し、現場を深く知ろうとするシマント社と一年半の間、共にトライ&エラーを繰り返すことでシステムを完成することができました。シマント様には「人が人らしく考える仕事をする」という私たちの想いに共感頂き、理想的な配車業務の実現に向けて歩んでいただいたことを感謝しています。


トランコムグループについて

シマントについて


株式会社シマントは、データベースに関する高度な技術を保有しており、複雑化してゆく情報化社会において、広範で多様な情報をシンプルに使いやすくすることで社会課題の解決をめざすソリューション企業です。

データベースプロバイダとして、事業ドメインに最適なデータベースを提供しています。また、統合データを活用したシステムの開発を合わせて行うことで顧客課題の解決を進めています。

シマントは、サプライチェーンのデジタル化を推進することで、サプライチェーンを構成する製造、物流、卸売り、小売り、環境などの領域の課題を解決し、より効率的で持続可能な社会の実現に貢献していきます。

注1:マルチバリューデータベース技術:業務システムに多く使用されているリレーショナルデータベース(RDB:Relational Database)は1つのフィールド(表の各項目)に対して1つの値を格納するのに対して、マルチバリューデータベース技術では、1つのフィールド(表の各項目)に1つ以上の複数の値を格納して処理することができます。そのため、マルチバリューデータベースは、RDBで必要なテーブル設計や正規化といった作業を行わずに利用することが可能です。例えば、1つの顧客が複数の商品を購入した事象を1つのレコードで格納することができるため、顧客ごとの購入履歴を高速に検索することができるなどのメリットがあります。注2:SImount BOX:SImount BOXはマルチバリューデータベースを用いた開発を効率的に実現するため、シマントが独自開発した開発支援システムです。データウェアハウス構築に特化しており、多様な形式のデータの取込・統合・出力の定義および実装が可能です。データを項目単位で独立して扱え、また稼働後の定義変更も容易に可能であるため、仕様が変わりゆくアジャイル開発に適しています。詳細はこちら:http://sibox.simount.com/